「異端の鳥」という映画を観ました(2020/11/22)。
監督:ヴァーツラフ・マルホウル
キャスト:ペトル・コトラール、ステラン・スカルスガルド、ハーヴェイ・カイテル、ジュリアン・サンズ、バリー・ペッパーウド・キア
原作:イェジー・コシンスキ(ポーランド)「ペインテッド・バード」(松籟社)
R15+
フライヤーの画が衝撃的。
藤原新也の「メメント・モリ」を思い出したが、背景は全然違うようだ。
いや、違うように見えて、繋がっているのか。
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戦争、ホロコーストをきっかけに疎開した少年。
疎開先を失うことになったあと、たった一人で生き延びて家への旅路につこうとするが、
そこには、人々や自然からの仕打ちが待っていた。
予告編で「人はなぜ、異質な存在を排除しようとするのか」という言葉があった。
それが人間の醜い本質なのか。
自分に余裕がなければ、本質が出てくるのか。
自分に余裕があるときだけ、人は人に優しくなれるのか。
人によって違うのか。
鳥と同じなのか。
豊かな社会とは、すべての人が余裕をもって、ゆとりをもって暮らせる社会ではないだろうか。
それだと刺激が少なく退屈な日常になってしまうかもしれないけど。
本作は、チェコ出身のヴァーツラフ・マルホウル監督が11年もの歳月をかけて映像化した作品と聞く。
また、舞台となる国や場所を特定されないように、使用される言語は、人工言語「スラヴィック・エスペラント語(インタースラヴィック:Interslavic)」が採用されているとのこと。
人工言語というからAI的なものかと思ったらそうではなく、
エスペラントは1880年代にラザロ・ルドヴィコ・ザメンホフによって創案された。最初の文法書・単語集は1887年に発表された。
エスペラントは人工言語であるため、公式にはどの自然言語とも類縁関係にないとされている。どの国の言語でもないため言語による民族感情に左右されず、特定の民族に有利になったり不利になったりしないため、だれでも使用の恩恵を受けられると言われている。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88)
ということらしい。
ある意味、本作のテーマに沿った言語でもある。
ヴェネツィア国際映画祭で上映された際、途中退場者が続出したことからもわかるように、元気のないときに観ると刺激が強すぎる作品。見始めたら最後まで観ることを勧める。